研究分野での放射線の利用

診療放射線技師 主任 小林

 

放射線を大きく分けると、「自然放射線」と「人工放射線」の二つに分けることができます。

 私たち人間は、生活の質を向上させるため、放射線発生装置などで作られた放射線や放射性同位元素から出る放射線を様々な分野で利用しています。この放射線を「人工放射線」と呼んでいます。この人工放射線の利用例として、主に次のようなものがあります。

1. 工業分野で利用される放射線

2. 農業分野で利用される放射線

3. 研究分野で利用される放射線

4. 医療分野で利用される放射線

今回は、研究分野において放射線がどのように役立っているかを説明したいと思います。

・考古学における年代測定

 

 時々ニュースなどで「遺跡から〇千年前の木製の柱が発見されました」というような話題を耳にしたことはありませんか?いったいどのようにして、遺跡からの出土品や恐竜の化石などの年代は特定されているか知っていますか。

 年代の測定法のひとつに「放射性炭素年代測定法」があります。この方法は、遺物に残る14Cという特殊な炭素の割合を調べることで年代を測定するものです。特殊な炭素とは、大気中の中性子と窒素が反応して作られる放射性同位体です。

 これは大気中では通常、二酸化炭素として存在しますが、規則的に崩壊していきます。しかし、作られる量と減少する量がちょうどつり合っているため、常に一定濃度に維持されています。また、植物は光合成、動物・人間は食物連鎖の為、大気中と同様、生体内の組織でも同じ濃度に保たれています。ところが、その生物が死んでしまうと新たな供給が絶たれ、次第に組織内での14Cの割合は減少していきます。そのため、遺物の14Cの残量を調べることによって何年前に死亡したかを推定する、すなわち年代を測定することができるのです。  この方法では約5万5千年前までの年代測定が可能だといわれています。さらに、地球環境の変化を照会する補正データとして、湖底の堆積物やサンゴ礁を利用したり、年輪を比較(年輪年代法)して、測定の精度を高めているそうです。

 

・宇宙物質の元素分析

 

 隕石はどのような環境・条件で生まれ、どこからやってきたのか。これらを調査するために欠かせないのが放射線による元素分析です。

 

一般に、隕石などの宇宙物質は入手困難で、非常に限られた量しか手に入りません。このような貴重な物質を破壊することなく分析する方法のひとつに「放射化分析」があります。隕石に中性子・荷電粒子・光量子などを照射すると、中に含まれる元素によって異なる固有の放射線を放出します。この放射線の種類や量などを測定することで、含まれる元素の種類や量を知ることができ、分析された元素組成は、その物質の生成環境や生成条件を特定するための最も基本的な情報となります。それらをデータベースへ照会することにより、起源が明らかとなります。現在では1万6千個を超える隕石が、国立極地研究所南極隕石センターという場所に保管されているそうです。

 

・物質の移動や分布、化学反応の過程の調査

 

病巣に有効な新しい薬品が開発された場合、投薬後、薬品が正常に患部に到達できるかを調べる方法に「放射性トレーサー法」があります。まず、薬品の一部分を放射性同位体にトレーサー(追跡の目印)として置き換えます。疾患モデル動物に投薬後、トレーサーから出る放射線を測定することによって、薬品の移動する様子や分布を調べることができます。           

 この方法は、理工学の分野では物理的現象や化学反応の解明などに、生物学の分野では動植物の代謝を調べるのに利用されているそうです。

 

このように研究分野でもさまざまな放射線を利用しています。今回この3つの検査法しか説明しませんが、まだいろいろな検査法があります。みなさんはこの他にも、知っている検査法がありますか?

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