秋の夜長の音楽鑑賞(パート4)

医師 工藤道也

 

以前「東口病院だより」にオスカー・ピーターソンの最後の来日公演を東京に聴きに行った話を書きました。そこでコンサートにすっかり魅了された私は、またコンサートに行く機会を虎視眈々とうかがっていたのですが、オスカー・ピーターソンと同じく1950年代から活躍していたソニー・ロリンズが来日することを知り、またコンサートに行くことにしました。

ソニー・ロリンズはテナーサックス奏者で、「サキソフォン・コロッサス」というアルバムが彼の出世作です。私もご多分に漏れず、そのアルバムから聴き始めました。演奏は、本人の性格が反映されているのだと思いますが、軽快で明るく、よく豪快に鳴らすと表現されます。同時代のサックス奏者のジョン・コルトレーンと比較されますが、大雑把に言うとジョン・コルトレーンは「陰」、ソニー・ロリンズは「陽」でしょうか。(こう書きましたが、ジョン・コルトレーンも大好きです)

 

もう13年も前のことになりますが、2005年11月、会場は東京国際フォーラムのホールCでした。オスカー・ピーターソンのコンサートの会場も東京国際フォーラムで、その時は一番大きなホールAだったので、ホールCはこじんまりとしていて、ステージと客席が近かったのを覚えています。CDジャケットに写っているソニー・ロリンズはサングラスを掛けたり、モヒカン刈りの頭だったりで、いかつい大男を想像していたのですが、登場したソニー・ロリンズは当時75歳、シャツにダボダボのズボンを穿いた小柄なおじいさんで、少し腰も曲がっていました。そんなソニー・ロリンズでしたが、いざ演奏が始まると、その音は豪快に鳴り響き、びっくりするとともにあっという間に引き込まれてしまいました。曲が進むにつれて会場は盛り上がり、彼もノリノリで、ある曲の最中に最前列の数人が立ち上がって全身でリズムを取り始めました。するとそれに気付いたソニー・ロリンズは、その人たちの前まで歩み寄って、そこで全身を揺するように演奏を続けたため、会場はさらにどっと盛り上がりました。コンサートも進み、最後は「In A

Sentimental Mood」という曲で締めくくられました。演奏者と聴衆が一つになり、またソニー・ロリンズの陽気な人柄に触れたようにも感じられ、思わず笑顔になってしまうコンサートでした。

このコンサートが心に残り、2008年5月にソニー・ロリンズが来日した際も、再びコンサートに行きました。この時もやはり会場は東京国際フォーラムでしたが、大きなホールAだったため、残念ながら前回のような親近感は感じることができませんでした。

それからずいぶんと時が過ぎましたが、最近ソニー・ロリンズの活動状況が耳に入ってこないためネットで調べたところ、2017年12月の記事に引退したことが公表されていました。御年88歳、これまでも何度か引退と復帰を繰り返していましたが、今回は肺の疾患(肺線維症)が増悪したため演奏ができなくなり、自分の楽器もある団体に寄付をしてしまったとのことなので、もう彼の生の演奏を聴ける可能性はほとんどなさそうです。寂しい限りですが、これまでの70年近い素晴らしい演奏活動にただただ感謝です。

 

受付では毎月一度、保険証の提示をお願いしております。

また、保険証番号・住所・電話番号等が変わった場合にも、随時受付職員までお知らせください。

ホスティング・レンタルサーバー